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2024.10.02

社会福祉法人の監査の意義を知る

皆さん、こんにちは!
太陽監査法人 東京事務所 スーパーバイザー
小俣 志穂 です。

私は現在、社会福祉法人を中心に、事業会社(会社法)及び投資法人の主査業務を担当しています。
業務割合としては、下記のとおりとなっています。


今回は、私のメイン業務である『社会福祉法人の監査』について、お話しします。
このブログを通して、社会福祉法人の監査に興味を持ってもらえると嬉しいです!


私のこれまで~仕事と育児との両立~


私は5年前、
4度目の育児休業から時短勤務で職場復帰しました。

当時、2歳から小学校6年生の4人の子の育児真っ最中でした。
日々、家事に育児に精一杯。ベッドに入るとパソコンをシャットダウンしたかのように、眠りについていたので、不安だらけの復帰でした。

あれから5年が経ち、一番下の子は小学校2年生になり、慌ただしさは変わらないものの、仕事と育児を両立しています。時には、同じように育児休業から復帰した後輩の相談に乗ることもあります。

復帰後、仕事では様々な経験をさせてもらっています。今回ご紹介する社会福祉法人をはじめ、上場会社、会社法、投資法人などなど・・・
子育て前ほどのペースでは働けない状況ですが、その頃に負けないくらいの経験を、社会福祉法人の監査のご紹介と合わせて、みなさんにお話しさせていただきます。

社会福祉法人との出会い


私が社会福祉法人と運命的に出会ったのは、
4度目の育児休業中でした。

仕事復帰を控え、仕事と育児を両立すべく、イメージトレーニングを重ねていました。
まずは朝・・・4人の子供たちの朝食の準備と片付け、自分の身支度、保育園へ送り届けてから監査現場に出社。そして帰宅後・・・保育園のお迎え、夕飯の支度と片付け、それからお風呂に洗濯に寝かしつけ。あっ、宿題と翌日の持ち物の確認も忘れてはダメ・・・というように。

でも、どう頑張ってみても、長女のスイミングスクールの迎えに行く時間が取れませんでした。この最後のパズルのピースを埋めないと、自信をもって復帰できない・・・

イメージトレーニングに行き詰って息抜きに散歩していた時、ふと通りかかった古い建物が、なぜか光り輝いて見えました。

その光の中に、
『社会福祉法人社会福祉協議会ファミリーサポートセンター』の文字が。私の潜在意識は、この重要な出会いをしっかりと捉えたのです!

「これだ!」と直感して話を聞いてみると、「保育園・習い事の送迎や、帰宅が遅くなった時などの預かりをお願いできる」とのこと。ついに、最後のパズルのピースが埋まったのです!さっそく、スイミングスクールの迎えや、歯科への通院の付き添いなどをお願いしました。

こうして無事に仕事復帰後のイメージトレーニングを終了し、仕事復帰の準備が整いました。

これが、私と社会福祉法人との運命的な出会いです!

『会計監査』というと、金融商品取引法監査(いわゆる上場企業の監査)や会社法監査といった、一般事業会社の監査イメージする方が多いのではないでしょうか。

ですが、社会には思っているよりも、はるかに多くの仕事があります。

私は子育てを通じて「世の中は様々な仕事で成り立っているのだ」と、強く実感しました。
そして4度目の仕事復帰後、「せっかく出会った社会福祉法人に関わりたい!」と考え、社会福祉法人の監査の希望を申し出ました。

念願の社会福祉法人の監査を担当しながら、少しずつ成長していく実感が出てきたこともあり、「しばらくはスタッフとしてチームを支えていこう」という当初の考え方も変わっていきました。


さて、ここでクイズです!
公認会計士に必要なスキルは、次のうちどれでしょう?

  1. 会計・監査に関する知識
  2. 最新の情報収集能力
  3. コミュニケーション能力



正解は・・・全部です!
知識や情報収集能力は、すでに皆さんが努力されていることと思います。この努力は、合格後もずっとずっとずっと続きます。そして、実務で痛感するのが、コミュニケーション能力の重要性です。

クライアントやチームメンバーに、何をいつ、どのように伝えるか・・・これは本当に大切です。
新人の頃も今も、日々気づきがあり、毎日が修行です(笑)。

ある日、クライアントの質問に自分なりに親身に対応したところ、「小俣さんに担当していただいてよかった。来年度もよろしくね。」と言っていただけました。あれは嬉しかったですね。それまでの苦労が一気に吹き飛び、「公認会計士っていいな!」って思いました。

これをきっかけに、よりコミュニケーション力が求められる仕事がしたい。「主査を担当したい!」と思うようになったのです。主査は、クライアントと、チームメンバーと、コミュニケーションを先頭きって行う役割ですから!

そしてまもなく、この希望が叶うことになります。
社会福祉法人3法人の主査の話が舞い込んできたのです!

嬉しかった半面、自分の中にいろんな言い訳が出てきました。

  • 10年近く主査業務をやってこなかったから、大丈夫かな・・・
  • 確かにやりがいはあるだろうけど、それに比例して難易度も上がるし、業務量も増えるよね・・・
  • 子供が急に成長して、手がかからなくなる魔法はないよね。ネットで売ってるかな・・・


それはそれは、ここに書ききれないほどたくさん出てきました。

『主査やりたい私 VS できない理由ばかり考える弱気な私』の対決!
『主査やりたい私』を応援するため、家族の協力を得られるよう調整し、快諾してもらいました。

そして、自分との対話を積み重ねて、ついに対決は決着。
時短勤務をフルタイム勤務に変更し、引き受ける決断をしました。『主査やりたい私』の勝利です!

この決断のおかげで、一般事業会社の監査以外の分野に携わり、それぞれの魅力を実感し、業務の幅を広げることができました。

社会福祉法人の監査とは?


簡単にですが、
社会福祉法人へ会計監査人による監査制度が導入された背景をご説明します。

社会福祉法において、社会福祉法人とは、『社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人』と定義されています。事業会社と異なり、利益追求を目的とせず、社会福祉や地域福祉の発展という高い公益性が求められます。

ご存じのように、日本の高齢化は年々深刻化し、また、人々の生活環境・暮らし方も様々です。
そんな中、社会福祉のニーズが多様化・複雑化し、社会福祉法人が社会福祉の重要な担い手として、国民の期待に応えられる存在であり続けるために、社会福祉法人制度改革が行われました。

この社会福祉法人制度改革の一環として、経営組織のガバナンスの強化を図るため、会計監査人による監査が法定化され、2017年度から開始されました。
現在、収益30億円を超える法人又は負債60億円を超える法人が対象です。時期は未定ですが、今後は収益20億円を超える法人又は負債40億円を超える法人、さらに収益10億円を超える法人又は負債が20億円を超える法人も対象となる予定です。
このように、私たち公認会計士の活躍の場がどんどん増えており、日々やりがいと責任を感じています。

『社会福祉法人』というと、皆さんは何を思い浮かべますか?

老人ホームや保育所などをイメージする方が、多いのではないでしょうか。
これらは、社会福祉法人のうち『福祉施設』と呼ばれます。また、『更生施設』『障害者支援施設』なども社会福祉法人です。さらに、『病院』の開設主体が社会福祉法人であることも、実は多かったりします。

そしてもうひとつ、
社会福祉法人には、先ほど出てきた『社会福祉協議会』があります。社会福祉協議会はご存じない方も多いのではないでしょうか。

社会福祉協議会の業務は、多岐に渡ります。
それぞれの都道府県と市区町村にあり、地域住民、民生委員・児童委員、社会福祉施設・社会福祉法人等の社会福祉関係者、保健・医療・教育など関係機関が協力し、『福祉のまちづくり』のため活動しています。
たとえば、福祉に関する相談活動、ボランティアや市民活動の支援、共同募金運動、子育て支援サービスや介護サービスの提供・・・などなど。公共施設内の売店も社会福祉協議会が運営しているものが、結構あるんですよ。

太陽では、
『福祉施設』などはもちろんのこと、『社会福祉協議会』に対しても監査業務を行っています。


私は社会福祉協議会の他に、福祉施設の監査にも関わったことがあります。それぞれ、同じ社会福祉法人でありながらも業務は全く異なるので、社会福祉法人の監査は奥深く、とても興味深い分野です。

だからこそ、時には調べたり考えたりすることがたくさんあります。
太陽には、全国に頼りになる仲間がいて法人内の関係性が密なので、他の地域の事務所と連携し、相談・解決していくことも多くあります。相談ごとがあればチャットや電話で、東京事務所だけでなく大阪事務所にいる社会福祉法人の監査チームの主査にも連絡することがあります。他の地域の仲間との対話や、出張時においしい食事とお酒を共にする時間は、私にとってかけがいのないものです。

社会福祉法人と一般事業会社の違い


次に、社会福祉法人と一般事業会社との違いについて、ご紹介します。

社会福祉法人の組織

 

  • 法人運営に係る重要事項の決定を行う『評議員会』
  • 業務執行の決定、業務執行を行う理事・理事長の職務の監督を担う『理事会』
  • 理事の職務執行を監査し、監査報告書を作成する『監事』


大きくこの3つから構成されており、いずれも兼務はできません。
名称は違いますが、一般事業会社と似ていますね。

そして、経営組織のガバナンスの強化、及び事業運営の透明性の向上を行い、地域における公益的な取組を実施する責務を中長期的に果たすため、2017年度からは一定の規模を超える社会福祉法人について、『会計監査人』監査制度が導入されることになったワケです。

社会福祉法人の会計


社会福祉法人会計は、一般事業会社とは異なる点が多く、担当した当初は戸惑いしました。

例えば、『1取引2仕訳』と言って、1つの取引について、資金収支仕訳(CF)と事業活動仕訳(BS・PL)の2種類の仕訳を切ります。
また、資金の範囲が一般事業会社よりも広範囲で、概ねBS流動項目から、棚卸資産・引当金・1年内振替科目を差し引いた金額が、社会福祉法人の資金の範囲となっています。

他にも様々な違いがありますが、当初はこれらのような一般事業会社との違いに混乱していました。
担当が決まった後、問題集3冊を解いて受験生のように勉強したことを、今でも覚えています・・・。
『会計慣行』として厚生労働省からの各種通知も多く、常に情報のブラッシュアップが必要で、とてもやりがいのある分野です!

業種を限定しないで監査をしていくことの重要性


これまで、上場企業の監査・IPO業務・コンサルティング…と、様々な業務を経験してきました。
育児休業明けは、社会福祉法人の監査に限定することなく、投資法人、上場企業も経験しています。昨年からは、10年ぶりに会社法の主査も担当しています。

特定の業種に偏ることなく、他業種の監査に関わり続けることで、社会福祉法人の監査では適用されない基準等の知識を身に付け、アウトプットする貴重な機会を持つことも重要であると自覚しているので、とても恵まれているなと感謝です。
おかげさまで、たくさんの仲間もいるので頼りになります。一緒に飲むお酒も最高です!

かのダーウィンは、

「強い者、賢い者が生き残るのではない、変化できる者が生き残るのだ」

と残しだそうです。太陽の山田総括代表が、研修のたびに話してくれます。暗記してしまうくらい、現代に生きる私たちが意識すべき言葉だと衝撃を受けました。

が、私はこうも思っていました。

「そのとおりだと思うけど、変化するってどうすればいいの?」

特に子育て真っ最中の私のような状況では、そんな簡単じゃないなって。
でもよく考えてみると、社会福祉法人監査に加えて様々な業種を担当している私は、実は少しずつ変化しているのかもしれません。劇的な変化はできませんが、少しずつ変化する方法で、ダーウィンには許してもらおうかと思います。

そんな変化ができるのも、『部門レス』の太陽だからこそ。そして、仲間たちに何でも相談できる風通しの良い太陽だからこそ、変化する機会に恵まれている太陽だからこそ。


さいごに


みなさんは今、ご自身の目標や理想をイメージしながら、またはイメージ作りのヒントを得るために、このブログを読んでくださっているでしょうか。

ちょっと先輩ぶりますね!(笑)
人生は思い通りにならないこともありますよね。でも、思いがけない素敵なことが起こるのも、また人生!社会福祉法人の監査との出会いをはじめ、様々な業種で、たくさんの仲間たちと仕事ができること、育児休業中の私は全く想像していませんでした。

『部門レス』の太陽だからこそ、業種の壁に捉われないチャンスがあります。そして、そこでの経験はかけがえのない私の財産です。

ぜひ皆さんも、太陽の一員になりませんか?