皆さん、こんにちは!
太陽監査法人リクルート担当の宮本です。
今回は “監査業務の魅力” をテーマに、お話をさせていただきます。
監査論を勉強して来た皆さんでも、監査法人で働く私たちが実際にどのような業務を行っているのかを具体的にイメージするのは難しいのではないでしょうか?
少なくとも私が会計士受験生だった頃は、
監査業務が具体的にどのようなものか、ほとんど分かりませんでした。
このブログでは、公認会計士の独占業務である “監査” とはどのようなものなのか?そして、監査業務には一体どのような魅力があるのかを、お話していきます!
監査法人への就職を検討している皆さんが、
このブログを読むことで、少しでも前向きな気持ちで就職活動に臨めるようになれば幸いです!
監査の定義については、受験生の皆さんには、もはや説明不要かと思います。
ざっくり言うと『会社の決算書を保証する業務』ですね。
それでは、この『保証業務』は、なぜ経済社会において必要不可欠な仕事なのでしょうか?
監査という仕事は、どのような価値を経済社会に提供しているのでしょうか?
事例を交えて掘り下げてみましょう。
監査の価値とは?
<事例>
1.(A社で誤謬が発生)A社では、大口取引先であるB社の債権回収が滞留しているにもかかわらず、経理担当者がこれを適切に把握できておらず、貸倒引当金を計上しなかった
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2.(A社で経営判断を誤る)A社の経営者は、B社の財政状態が悪化していることを把握しないまま取引を継続する
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3.(B社の売掛金が貸倒れ)B社の売掛金は回収出来ず、資金繰りが苦しくなる+経営判断を誤ったことで、財政状態・経営成績も悪化する
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4.(A社が倒産)業績が悪化したA社は、銀行からの融資も受けられなくなり、倒産する+多くの従業員とその家族が、路頭に迷ってしまう
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5.(他社へ波及)今度は、倒産した会社に対する債権をもっていた会社の資金繰りも苦しくなる
※ 以降、3.から繰り返し・・・
これは極端な例えですが、決して起こりえない話ではありません。
会社の決算書に何か一つでも重要な不正又は誤謬があっただけで、会社が倒産し、連鎖的にいくつもの会社が影響を受け、日本経済に甚大な被害を与える可能性すら孕んでいるのです。
このように、
監査という仕事は『保証業務』を通じて、日本経済を土台から支える超重要な役割を担っているのです。
監査のルーティン業務はつまらない?
ところで、監査のルーティン業務はどのようなものだと思いますか?
もしかしたら、漠然と「地味な単純作業が多くて、つまらない」というイメージを持っている方もいるのではないでしょうか?(私は、そうでした)
確かに、監査業務がPCに向かってデスクワークをする時間が多いことは、否定しません。
ただ、もしデスクに向かって『机の上の数字を追いかけているだけの業務』だとイメージされている方がいるようでしたら、それは 大間違い です!!!
私たち公認会計士は、会社の決算数値や関連する取引・事象と日々格闘しているわけですが、
会計士が見ているのは、ただの数字ではなく会社そのもの、すなわち『ビジネス』なのです。
なぜかというと、
会社のあらゆる事業活動は、最終的には全て決算書の中に数字となって集約され、私たちはその数字を監査しているからです。
「数字を見る」ということは、会社のビジネスを見るということに他ならないのです。
監査というものは、
- 会社がどのような強みを持っていて、
- どうやってお金を稼ぎ、それを何に投資し、
- どのように将来のビジョンを描いているのか?
ということについて、誰よりも(会社内部の人間よりも)理解する姿勢で臨まなければなりません。
そうすることで、初めて決算書の数字の意味が分かるのです。
いい会計士ならば必ず行っているこの思考プロセスが、「単純作業でつまらない」とは遠くかけ離れているということは、イメージできますよね?
また、監査の面白さをイメージしてもらうためには、まず私たちが日頃向き合っている「財務諸表がそもそも面白い」ということを認識してもらう必要があるでしょう。
興味深いことに、仮に全く同じ経済活動をして来た会社があったとしても、この両社の財務諸表が全く同じものになるとは限らないのです。
粉飾や誤謬、内部統制の不備などのイレギュラーな事象だけでなく、会計方針の選択や会計上の見積りや表示方法など、仕訳を一つ切るだけでも選択の幅がある要素が多数存在しており、採用した会計処理によって財務諸表が大きく変わるのです。
この多様性を持つ財務諸表の性質が、監査の日常をより面白いものにするのです。
<会計処理における判断の事例>
1. 収益認識
(例)直送の販売取引が発生した。収益を総額で認識するか否か?
2. 会計上の見積り
(例)取引先の業績が悪化した。貸倒引当金を計上するか否か?
3. 表示方法
(例)重要な契約を失注し、協力会社に解約違約金を支払うこととなった。損失を特別損失とするか否か?
このように、会計上の判断は発生した事象ごとに個別で行われるわけですから、私たち会計士は、毎日のように専門家としての判断を繰り返しているのです。そして、この判断は会社の置かれている状況等によって結論が変わりうるので、似たような論点であっても決して気は抜けません。
私たち会計士は、監査業務をしている限り、常にこのような専門家としての手腕を奮う機会に恵まれていて、毎日がスペシャルで、かつ、エキサイティングなのです。
そんなわけで、私は、監査のルーティン業務は面白いか?つまらないか?と問われれば、「そもそもルーティンと感じていない」と答えるのです。
監査は100年成長できる仕事?
急に壮大な話になりますが、仕事とは苦痛なものでしょうか?
確かに、仕事を億劫に感じることは誰にでもあると思います。
しかし、どんな仕事でも自分の成長を感じた瞬間というのは、楽しいと思えるものです。
そして、楽しいという気持ちで仕事をすると、人は一層成長するものです。
なので、社会人として仕事を苦痛に感じずに長く続けて行くためには、この「成長のループを早く掴んで離さない」ことがとても大事です。
幸いにして私は、太陽監査法人に入所して以来いつも楽しく仕事をさせてもらって来たので、受験生だった当時には想像もつかないほど、案外ちゃんとした会計士になれた気がしますし、10年以上経った今でも年甲斐もなく毎日成長を感じて喜んでいたりもします。
何せ、
とにかく毎日成長するチャンスがそこら中に転がっているのが、監査の現場です。
先ほどのとおり、監査業務では常日頃から、息をするように専門家としての判断を繰り返しているのですから、ただ真面目に仕事に取り組むだけでも十分に成長できるものです。
その上、何かしらの会計事象等についてチームで検討することとなった場合には、熟練したパートナーやマネジャーがそれぞれの知識と経験を持ち寄ってディスカッションするのですから、話を聞いているだけでも次々にありがたい知識が飛び込んで来ます。
また、
様々な業種の会社を沢山見るチャンスがあることも、監査業務の最高の特権です。
若手のうちは様々な会社に出向き、会社のビジネスを知り、そこで働く人たちとコミュニケーションを取ることが、とにかく楽しいものです。私たちの暮らしを支えている多くの人たちのリアルを肌で感じ、社会の成り立ちを一番近くで学ぶ。こんな経験が若手のうちからできる仕事は、他にあるでしょうか?
この類稀な経験を通じて、
他のどんな業種でも味わえない飛躍的な成長を実感できるのが、監査という仕事なのです。
もちろん、熟練してからも、様々な会社で競争力の源泉を理解し、経営者と同じ目線に立って会社の将来を展望するのは、いつまで経っても好奇心を刺激されて楽しいものです。
何年経ってもこんなに成長を実感する仕事ができることって、とても幸福なことだと、私は思うのです。
監査は華のない仕事?
医者や弁護士のように華々しく物語にされる職業と違い、会計士は決して派手に取り上げられる仕事ではありませんね。
しかし、ひとたび社会に出ると会計士の知名度は高く、とても頼りにされる職業です。
また、監査という仕事は、ことのほかドラマチックなものですよ。
考えてもみてください。
私たち会計士が上場企業の監査をしなければ、この経済社会は瞬く間に破綻してしまうかもしれません。
そういう意味では、医者や弁護士と同じように、私たち会計士も監査を通じて人々を守っているのです。
だからこそ、強烈な責任感と誇りを持って仕事に向き合っているのです。
一方で、監査という仕事はプレッシャーの多い仕事でもあります。
試験であれば何問か間違えても合格できるかもしれませんが、監査は会社の財務諸表の信頼性を守る最後の砦なので、間違いは許されません。常に100点以上が求められるのです。
社会からの期待も大きいし、会社の担当者からは「当然、わかりますよね?先生!」という心の声が聞こえて来ることもあるかもしれません。
しかし、そのようなプレッシャーの中でも生き抜いて経験を積んだ会計士は抜群にカッコいいものです。
熟練した優秀な会計士には、総じて得も言えぬ安定感があり、言葉には深い重みと説得力があります。自信に満ちていて、その場にいてくれるだけでも皆に安心感を与えることができるのです。
これは、監査チームの中で見ていてもそのように思うのですから、会社からはことさら大きな存在に写っていることでしょう。
私はいつか、
自分が憧れていた「カッコよくて、どんな経営者とも対等に渡り合える会計士」になりたいと思うのです。
そんなわけで、私は監査が華のない仕事だなんて、ほんの少しも思ったことはありません。
監査法人選びは超大事!
監査について散々語って来たものの、
私個人の考えは、仕事が楽しいか楽しくないかを決める大事な要素は、何と言っても『人』にあると思っています。
どんな仕事に就くにも、一に人、二に人、三も四も五も人です(だいぶ話は脱線しますが)。
この人の力になりたい!と思えるような人と働くのとそうでないのとでは、仕事に対する気持ちのありようが大きく違ってきます。
毎日の疲労度だって違いますし、寝起きの気分からしても違います。もちろん、成長速度も大きく違います。
そもそも、監査はチームプレイだから『コミュニケーション』が超大事です。
自分の考えや閃きを口に出すのを躊躇うような職場では、いい監査はできませんね。
私は今、肌の合う監査法人と巡りあい、いい人たちと一緒に楽しく仕事ができていますが、かたや、これから就職する皆さんにとっては、どんな人と巡り会えるかはガチャのような気分でしょう。
だからこそ、就職活動を一生懸命することは、とても大事です。
ぜひ、人をよく見て、法人の雰囲気で感じた直感も重視して、監査法人を選んで欲しいと思っています。
皆さんが、この先のキャリアでどのような成長曲線を描き、どのように社会で存在感を発揮するのかは、置かれている環境や人間関係が大きく影響することは間違いないでしょう。
さいごに
実は、私は30代後半の頃に一度内臓の大病を患い、療養に専念するために太陽監査法人を自主退職しています(その後、体調が無事回復し、太陽監査法人に復帰出来ました)。
それまでは当たり前のように監査の仕事をして来ましたが、退職した時に初めて『公認会計士』という資格のありがたさを実感しました。
本来であれば、30代後半で体調不良を理由に職を失ったら将来に対する不安でいっぱいだったことでしょうが、私は再就職について不安に思うことが微塵もなかったのです。
不安を感じなかったのは、会計士の資格そのものが社会的に高く評価されているということももちろんありますが、それ以上に、監査を通じて様々な会社に足を運び多様なビジネスを理解し、多くの経営者と対話するなどの希有な経験を積んで来たことで、自分のスペックに自信があったためです。
図らずも、
退職した時に初めて「監査という仕事で得られた経験がどれほど貴重なものか」に気付いたのでした。
皆さんも、監査法人を選ぶ際は、もしも10年後に退職するとして、その時に何が残せるだろうか?そのためにどんな経験を積むのがよいのだろうか?ということをイメージして臨むと良いかもしれませんね。
最後になりますが、会計士というのは本当に幸福な職業です。
こんなにも魅力的で、それでいて貴重な経験ができる監査という仕事を独占しているのですから。
そして、皆さんが会計士の資格に目をつけて目指したことは、まさに幸運だと思います。
何年かけてでも、必ず勝ち取っていただきたいです。
皆さんの今後のご活躍を、心からお祈りしています!
いかがでしたか?
公認会計士は、監査以外にも「多種多様な業務を行うことができる」ということを聞き、期待に胸を膨らませている方もたくさんいると思います。
しかしその一方で、こんな方もいらっしゃるのではないでしょうか?
- ファーストキャリアを監査法人にすることに対して、何らかの悩み・不安を抱えている
- そもそも「監査業務を経験しておく意義ってなんだろう?」と思っている
- 自分はどんな会計士になりたいのか、見えてこない
このブログを通して、監査業務の魅力が少しでも伝わったのであれば、大変嬉しい限りです。
今後の就職活動において、ご自身のキャリアを考える上で、もし監査業務を経験することに迷いが生じたときは、ぜひ「原点に立ち返る」つもりで、このブログを思い出していただければと思います!