皆さん、こんにちは!
太陽監査法人 東京事務所 スーパーバイザー
小俣 志穂 です。
私は現在、社会福祉法人を中心に、事業会社(会社法)及び投資法人の主査業務を担当しています。
業務割合としては、下記のとおりとなっています。

今回は、私のメイン業務である『社会福祉法人の監査』について、お話しします。
このブログを通して、社会福祉法人の監査に興味を持ってもらえると嬉しいです!
私のこれまで~仕事と育児との両立~
4年前、私は4度目の育児休業から職場復帰しました。当時2歳から小学校6年生の4人の子の育児真っ最中だったので、時短勤務です。
「1時間、いや5分でいいから独りになりたい!」とサンタクロースにお願いするほど、育児に仕事に慌ただしい毎日を送っていました。
あれから4年が経ち、一番下の子は小学校1年生になり、育児のステージが変わったように感じています。その象徴的な出来事があります。
一番下の子が年長の頃、毎週日曜日の午前中、夫と上の子たち3人は空手の稽古に出かけていました。この時間は、私と年長さんと2人で留守番。女の子に大人気のアニメ鑑賞後、『ジャンボリーミッキー』のレッスンが…!
鬼コーチと化した年長さんによる私への厳しい指導が始まります(普段は天使のような子なのに…)。
「手をもっと高く上げて!」
「足はまっすぐ!」
などと厳しく注意され、ようやく鬼コーチから合格をもらう頃、洗濯終了の音楽が鳴り、一通り家事を済ませていました。
それが、鬼コーチ(いや、年長さん)はこの春から小学校に入学し、彼女も空手の稽古に参加するようになり、なんと私はいつの間にか一人になる時間を手に入れていたのです。(しかも3時間も!)
ところが、人はないものねだりをするのでしょうか…、念願だった3時間もの独り時間を手に入れたのにも関わらず、やりたいことを全く思いつかないでいました。
育児のステージが変わったことを実感するとともに、「子供は成長する。だから自分自身も変化が必要なのでは…?」と、ぼんやり感じていました。
社会福祉法人との出会い
私が社会福祉法人と運命的に出会ったのは、
4度目の育児休業中でした。
仕事復帰を控え、仕事と育児を両立すべく、イメージトレーニングを重ねていました。
まずは朝・・・4人の子供たちの朝食の準備と片付け、自分の身支度、保育園へ送り届けてから監査現場に出社。そして帰宅後・・・保育園のお迎え、夕飯の支度と片付け、それからお風呂に洗濯に寝かしつけ。あっ、宿題と翌日の持ち物の確認も忘れてはダメ・・・というように。
でも、どう頑張ってみても、長女のスイミングスクールの迎えに行く時間が取れませんでした。
イメージトレーニングに行き詰って息抜きに散歩していた時、
ふと通りかかった建物に『社会福祉法人社会福祉協議会ファミリーサポートセンター』と書かれているのを目にしました。
「これだ!」と直感して話を聞いてみると、「保育園・習い事の送迎や、帰宅が遅くなった時などの預かりをお願いできる」とのこと。さっそく、スイミングスクールの迎えや、歯科への通院の付き添いなどをお願いしました。
こうして無事に仕事復帰後のイメージトレーニングを終了し、仕事復帰の準備が整いました。
これが、私と社会福祉法人との運命的な出会いです!
『会計監査』というと、金融商品取引法監査(いわゆる上場企業の監査)や会社法監査といった、一般事業会社の監査イメージする方が多いのではないでしょうか。
ですが、社会には思っているよりも、はるかに多くの仕事があります。
私は子育てを通じて「世の中は様々な仕事で成り立っているのだ」と、強く実感しました。
そして4度目の仕事復帰後、「せっかく出会った社会福祉法人に関わりたい!」と考え、社会福祉法人の監査の希望を申し出ました。
念願の社会福祉法人の監査を担当しながら、少しずつ成長していく実感が出てきたこともあり、しばらくはスタッフとしてチームを支えていこうという当初の考えが変わっていきました。「主査を担当したい!」と思うようになったのです。
そしてまもなく、この希望が叶いました。
社会福祉法人3法人の主査の話が舞い込んできたのです!
自信はなかったし迷いもあったけれど、家族との調整や自分との対話を積み重ね、時短勤務をフルタイム勤務に変更し、引き受ける決断をしました。
この決断のおかげで、一般事業会社の監査以外の分野に携わり、それぞれの魅力を実感し、業務の幅を広げることができました。
社会福祉法人の監査とは?
簡単にですが、
社会福祉法人へ会計監査人による監査制度が導入された背景をご説明します。
ご存じのように、日本の高齢化は年々深刻化し、また、人々の生活環境・暮らし方も様々です。
そんな中、社会福祉のニーズが多様化・複雑化し、社会福祉法人が社会福祉の重要な担い手として、国民の期待に応えられる存在であり続けるために、社会福祉法人制度改革が行われました。
この社会福祉法人制度改革の一環として、経営組織のガバナンスの強化を図るため、会計監査人による監査が法定化され、2017年度から開始されました。
現在、収益30億円を超える法人又は負債60億円を超える法人が対象です。時期は未定ですが、今後は収益20億円を超える法人又は負債40億円を超える法人、さらに収益10億円を超える法人又は負債が20億円を超える法人も対象となる予定です。
このように、私たち公認会計士の活躍の場がどんどん増えており、日々やりがいと責任を感じています。
ところで、
『社会福祉法人』というと、皆さんは何を思い浮かべますか?
老人ホームや保育所などをイメージする方が、多いのではないでしょうか。
これらは、社会福祉法人のうち『福祉施設』と呼ばれます。また、『更生施設』『障害者支援施設』なども社会福祉法人です。さらに、『病院』の開設主体が社会福祉法人であることも、実は多かったりします。
そしてもうひとつ、
社会福祉法人には、先ほど出てきた『社会福祉協議会』があります。社会福祉協議会はご存じない方も多いのではないでしょうか。
社会福祉協議会の業務は多岐に渡ります。
それぞれの都道府県と市区町村にあり、地域住民、民生委員・児童委員、社会福祉施設・社会福祉法人等の社会福祉関係者、保健・医療・教育など関係機関が協力し、「福祉のまちづくり」のため活動しています。
たとえば、福祉に関する相談活動、ボランティアや市民活動の支援、共同募金運動、子育て支援サービスや介護サービスの提供・・・などなど。
また、『生活福祉資金貸付制度』に係る業務も行っています。新型コロナウイルス感染症の影響で同制度が拡充されたことから、その名を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません(ただし現在、『生活福祉資金貸付制度』に係る会計は、会計監査人による監査の対象外です)。
太陽では、
『福祉施設』などはもちろんのこと、『社会福祉協議会』に対しても監査業務を行っています。
私は社会福祉協議会の他に、福祉施設の監査にも関わったことがあります。それぞれ、同じ社会福祉法人でありながらも業務は全く異なるので、社会福祉法人の監査は奥深く、とても興味深い分野です。
だからこそ、時には調べたり考えたりすることがたくさんあります。
太陽には、全国に頼りになる仲間がいて法人内の関係性が密なので、他の地域の事務所と連携し、相談・解決していくことも多くあります。先日も、大阪事務所にいる社会福祉法人の監査チームの主査に電話で相談に乗ってもらったばかりです。他の地域の仲間との対話や、出張時においしい食事とお酒を共にする時間は、私にとってかけがいのないものです。
社会福祉法人と一般事業会社の違い
次に、社会福祉法人と一般事業会社との違いについて、ご紹介します。
社会福祉法人の組織
- 法人運営に係る重要事項の決定を行う『評議員会』
- 業務執行の決定、業務執行を行う理事・理事長の職務の監督を担う『理事会』
- 理事の職務執行を監査し、監査報告書を作成する『監事』
大きくこの3つから構成されており、いずれも兼務はできません。
名称は違いますが、一般事業会社と似ていますね。
そして、経営組織のガバナンスの強化、及び事業運営の透明性の向上を行い、地域における公益的な取組を実施する責務を中長期的に果たすため、2017年度からは一定の規模を超える社会福祉法人について、『会計監査人』監査制度が導入されることになったワケです。
社会福祉法人の会計
社会福祉法人会計は、一般事業会社とは異なる点が多く、担当した当初は戸惑いしました。
例えば、『1取引2仕訳』と言って、1つの取引について、資金収支仕訳(CF)と事業活動仕訳(BS・PL)の2種類の仕訳を切ります。
また、資金の範囲が一般事業会社よりも広範囲で、概ねBS流動項目から、棚卸資産・引当金・1年内振替科目を差し引いた金額が、社会福祉法人の資金の範囲となっています。
他にも様々な違いがありますが、当初はこれらのような一般事業会社との違いに混乱していました。
担当が決まった後、問題集3冊を解いて受験生のように勉強したことを、今でも覚えています・・・。
『会計慣行』として厚生労働省からの各種通知も多く、常に情報のブラッシュアップが必要で、とてもやりがいのある分野です!
業種を限定しないで監査をしていくことの重要性
これまで、上場企業の監査・IPO業務・コンサルティング…と、様々な業務を経験してきました。
育児休業明けは、社会福祉法人の監査に限定することなく、投資法人、上場企業も経験しています。そして今年は会社法の主査も担当することになりました。私にとって、大きな挑戦です!(会社法の主査は10年以上担当していないので…)
会社法の主査の打診が来たときは、「なんで私!とても無理!」と思いました。
しかし、先ほどもお話ししましたが、子育てのステージの変化ともに自分自身の変化の必要性を感じていたので、挑戦したい気持ちもあったのも事実です。
また、特定の業種に偏ることなく、他業種の監査に関わり続けることで、社会福祉法人の監査では適用されない基準等の知識を身に付け、アウトプットする貴重な機会を持つことが重要であることも自覚しています。
そこで、統括主査(上司)やコミュニケーション担当(心配事を相談する先輩)に、率直に不安や疑問をぶつけて、それらを解消したうえで自分会議(臆病な自分と挑戦したい自分との会議)を何回も開き、引き受ける決断をしました。
かのダーウィンは、
「強い者、賢い者が生き残るのではない、変化できる者が生き残るのだ」
と残したそうです。太陽の山田総括代表が、研修のたびに話してくれます。暗記してしまうくらい、現代に生きる私たちが意識すべき言葉だと衝撃を受けました。
が、私はこうも思っていました。
「そのとおりだと思うけど、変化のタイミングや方法が分からないんです!そして、変化する勇気を持つことも!」
特に、子育て真っ最中の私のような状況では、簡単じゃないなって。
けれど、幸せなことに今回の会社法の主査を担当することによって、その「タイミング、方法、勇気」を与えてもらえたのです!
『部門レス』の太陽だからこそ、そして仲間たちに何でも相談できる風通しの良い太陽だからこそ、挑戦する機会に恵まれ、勇気を持つことができました!
さいごに
みなさんは今、ご自身の目標や理想をイメージしながら、またはイメージ作りのヒントを得るために、このブログを読んでくださっているでしょうか。
ちょっと先輩ぶりますが(笑)、
人生は思い通りにならないこともあります。でも、思いがけない素敵なことが起こるものです!社会福祉法人の監査との出会いも、会社法の主査のチャンスも、私にとっては思いがけない素敵なことです。
『部門レス』の太陽だからこそ、業種の壁に捉われないチャンスがあります。そしてそのチャンスを掴むことに迷いがあれば、相談できる仲間がいます!
ぜひ皆さんも、太陽の一員になりませんか?